路上観察学のこと
昨日VRChatの「concrete block museum」というワールドを訪れたら自分のことを色々思い出したので、好きだった路上観察学に絡めた自語りをしようと思った。
concrete block museum
concrete block museumは、古典建築めいたサムネとは裏腹に「ブロック塀の透かしブロック」をコレクションしたワールドだった。 作者が各地で見つけたであろう様々な形の透かしブロックが解説と共に置かれていた。作者は某建築系出版社S社の出身らしく、ワールドそのものの造形もカッコイイ。多柱室的な趣がある。
言いたいことは全部↓のツイートが言ってくれている。
CONCRETE BLOCK MUSEUM — by hukukozy
— 常盤いるむ (@tokiwailm) July 23, 2020
路上観察系ブログや評論系同人誌のノリを巨大なVR美術館に落とし込んだかような奇妙なワールド。建築は荘厳でお洒落でありながら、展示品や上層を飛び交うブロックとのギャップがシュールで面白い。 #VRChat_world紹介 pic.twitter.com/5KwCrGyppY
路上観察学
路上観察学会(ろじょうかんさつがっかい)とは、路上に隠れる建物(もしくはその一部)・看板・張り紙など、通常は景観とは見做されないものを観察・鑑賞する団体。(Wikipediaより引用)
路上観察学が何なのかと言われるとうまく説明できない。「アンネームドな景観を楽しむもの」という感じがする。 具体的にはマンホールとかトマソンとかをコレクションしていく。日常の何気ないオブジェクトをコレクションしてそれぞれの個性や趣を楽しむ。concrete block museumの透かしブロックも路上観察学的なノリがある。
路上観察学を好きになったきっかけことIngress
ポケモンGOの前身ともいえる位置情報ゲーム。ポータル(ポケモンGOでいうポケストップ)をつないで三角形を作り、三角形の面積を競う。 ポータルは現実世界の歴史的、もしくは文化的なオブジェクトの位置とリンクしている。石碑や神社や彫刻などが代表的。
このゲームを有利にするためには、家の周辺にポータルを増やすのが良い。 家の周辺にポータルがあるとアイテムも手に入れやすい。 ポータルを増やすためには、ポータル候補の写真を撮り、運営会社に申請する。 このシステムのために、当時Ingressに熱中していた自分は、家の周辺のポータルになりそうな歴史的、文化的オブジェクトを探し回ることになった。 更に申請のときにオブジェクトに対する説明文を書くと申請が通りやすいという特徴がこのシステムにはあった。 結果、申請を少しでも有利にするために、日常風景の中の何気ないオブジェクトに対して説明文を書くための調査に力を入れることになった。
郷土史
まだ見ぬポータルを探したいという欲求に駆られ、史跡が多い地区を見つけるために郷土史を調べた。地元の図書館に行くと大抵は郷土史の本が置いてある。さしてゲーム的な成果はなかったが地元の主要な集落などは知ることができた。
古地図
Ingressをやっていると、地区によって露骨にポータルの数に差があることが分かってくる。 歴史のある集落には十中八九石碑や神社がある。碁盤の目のように作られた新しい住宅地には何もない。 必然的に歴史的集落を探した方がポータル候補が見つかる可能性は高い。
Googleマップで地図を見るとおおよそ歴史的な集落か新興の住宅地かは分かりやすい。 道が細くぐねぐね曲がっていれば歴史的集落でまっすぐに整備されていると新興住宅地だ。かなり分かりやすい。 「ここ絶対石碑あるな」と思ってストリートビューを見て「やっぱりあるじゃん」となるときが一番気持ちがいい。
そうしていると、実は新興住宅地だと思っていた場所も、実は昔は歴史的な場所だったのではと少し杞憂した。 今までGoogleマップ上で見落としていた場所にもあるのではと。 そうなると新興住宅地もストリートビューで見る必要があるが流石に作業量的に大変過ぎる。 そこで古地図を調べることにした。 結果、家の周りはあまり昔と変わっていないということがわかった。ゲーム的な成果はない。
そうこうしているともうIngress関係なく路上観察が好きになってくる。何もないと思っていた家の周辺は案外面白い。
Ingress以降
ここ数年はIngressをしていない。理由は以下。
- Ingressをしていると路上観察に集中できない
- 近隣のポータル候補を申請し尽くした
- 近くに強力なプレイヤーがおり、絶対勝てないため無力感が強まった
本末転倒だがIngressをしなくなるとインドアになるので座学的に建築をかじるようになって今に至る。
おわり。以下散文的な路上観察語り。
路上観察学的に好きなオブジェクト
幟立て
旗を固定するための石柱的なオブジェクト。かなり年季が入ったものも多い。 多くの場合は石碑のように文字が書いてあるわけでもないし、旗が立っている姿を見ることはない。 民家の庭に横倒しになっていたり石畳にされていたりと豊かな表情を見せてくれる。
屋敷神
民家にある小さな祠。 人様の敷地に勝手に入ることはできないので、観測できる屋敷神の多くは路上に面しているものになる。 路上に面しているものはおそらく家の改築のときに置き場所がなくなって軒先に置かれているのではないだろうか。 立派な台に乗っているわけでもなく祠の本体部分だけがポンと置かれている。 仮にも神様ではある。
公民館
公民館が設置される場所に傾向はあるのか。あれの設置場所はどうやって決めたのか。 神社の隣はポピュラーな設置場所な気がする。
旧家
立派なおうち。あの家はこの土地でどういう地位の人のものだったんだろうか。
御膳水
明治時代、明治天皇は全国を行幸していた。 「明治天皇が水を飲んだ」「明治天皇が休んだ」ような場所はことごく石碑が立てられ、そのことを記念している。 明治天皇〇〇で調べると旧街道沿いに集中しており、当時の行幸の足跡がよくわかる。
好きなサイト
環境デザインマニアック
多摩美の先生のサイト。特に「日本の景観」は自分がワールドを作るときの根幹にある気がする。
火の見櫓図鑑
全国の火の見櫓をコレクションしている個人サイト。火の見櫓はそれぞれ個性的な形をしている。
おわり